誕生会にて
- 2020.08.19
- 交際期間の中で

2015年11月某日東京
前回に引き続き、誕生会にて。よくよく考えたら昨日の夜は12時を回っていたので彼女の誕生日が交際開始日となったなぁなどと考える余力もない二日酔いの私をよそに、八谷さんからしゃぶしゃぶの食べ方を教わり黙々と食べている彼女。二つのことが同時にできない彼女が私や八谷さんに気を遣わずに食べ続けているというのはそれほどおいしいということだ。
「掘口さん、食べないなら貰いますよ!」
私が知っている恋人同士の誕生日の過ごし方とはあまりにもかけ離れている現状に心の中で苦笑しつつも、今までの関係が変わらないことで少し安心した。ちなみに私たち二人の関係は八谷さんを含め会社のメンバには黙っておくことにした。付き合ったからと言って学生ではないのだからそこまで変わらないのかなと思いながら箸を進めていると、
「ユンユンいつの間にか、掘口ともかなり仲良くなったな!」
と、八谷さんの空気を読むのが鋭いのか、たまたまなのかは不明だが少しドキッとする指摘があった。それに対してどんな回答をするんだろうなと考える暇もなく、
「はい!」
と、迷いなく答えてくれた姿には、平静を装ってはいたが心の中では付き合ってよかったなとニヤケていた。