LINEのID
- 2020.06.20
- 出会いから

2015年2月某日東京
2月も終わりに近づいてきたころ。相も変わらずの忙しさではあったが私と彼女は一緒に帰ることも多くなった。私のほうが遅くなってしまうことが多かったのだが、彼女は自席で暇をつぶしたり日本語を勉強したりして八谷さんから「やること終わったら早く帰れ!」とよく怒られていた。
帰りの道中では無言でいることは余りなく、基本的には日本語で何気ない日常会話をしていた。
その甲斐もあって彼女の日本語力も上がってきたように思う。その上達ぶりに私もうれしかったので極力付き合うことにした。
そんなある日の朝「すいません掘口さん、LINEのIDを教えてもらっていいですか?」と彼女。
LINEとIDの発音がすごくネイティブっぽいなぁと思いながらIDを教えた。女の子のIDを入れたのは学生のとき以来だなと心の中で苦笑した。それからは定時を過ぎた後に「今日は何時に退社予定ですか?」などの連絡が来るようになった。妙にかしこまった文面なのは、ネットでしっかり調べてから打ち込んでいるからであろう。
何で直接言わないのかなぁとの疑問はありつつも、いつも話している感じと違った文面に微笑しながら返信した。