昼ごはんは3人で①
- 2020.06.27
- 出会いから

2015年3月某日東京
私たちの職場は、駅から徒歩1分余りの好立地にあった。しかしお昼を食べるのに適していたかというと必ずしもそうではなかった。
コンビニはあることにはあるが、規模が小さく品ぞろえもいまいち。その上、自席での飲食は禁止で買っても食べるところがなかった。行ける店も限られている中で、八谷さん、ユンユン、私の三人で食べに行くことが多くなった。ちなみに後輩は、お金がもったいないとのことで夜しか食べないらしい。。
よく行く店の一つに回転寿司店があった。この店はタッチパネル等はなく、口頭で板前さんに注文しなければならなかった。
始めは八谷さんに全部注文を任せていた彼女であったが、ある日の機嫌の悪い八谷さんの「注文ぐらい自分でやれ」から、自分で注文するようになっていた。
「すみませーん。マグロ!」
「えーと、サンモン!」
彼女のたどたどしい注文に板前さんも始めのころは「サーモン?秋刀魚?一皿でいいの?」と戸惑っていたが、とても優しく話しかけてくれたのが印象的だった。
常連となってからは、注文のやり取りもスムーズになり彼女も徐々に食べられるネタが増え楽しそうだった。ただ一つ理解できないのは彼女は寿司に醤油を付け過ぎなのだ。これは、現在も続いているのだが、醤油皿に2秒ほど寿司をおいて放置するのだ。「おいしい。おいしい。」と食べてはいるが、醤油の味しかしないだろうと私が思っていることはまだ彼女には伝えていない。